選択性緘黙(かんもく)
前回はアメリカの発達障がいの教育について書かせていただきました。今回は選択性緘黙(場面緘黙)について書かせていただきます。
言葉としては聞いたことが無い方もいるとは思いますが、今回緘黙について勉強していただき、人見知りではなく本人が悩んでいるということを理解していただければと思います。
選択性緘黙とは、言語能力があるにも関わらず、話せなくなってしまうことを指します。例えば、親しい友人や家族の前ではスラスラと会話をしているが、学校や外出先などの特定の状況下において、話すことが難しくなってしまうことです。言葉を発することが出来なくても、コミュニケーションをとることは可能です。例えば、音を立てたり、指を差す、書くなどでコミュニケーションを取ります。
この障がいは他人から誤解を生みやすいと言われます。例えば、大事な報告を周りの人に出来ません。その結果、トラブルや信頼を失ってしまうことにも繋がります。
選択性緘黙の有病率は0.03〜1%とかなり稀な障がいです。比較的小さい子どもに発症しやすいです。
有病の原因としては、社会的孤立や親の恥ずかしがりなどの気質要因と、親による社会的抑制などの環境要因、脳や親からの遺伝的な要因の3種類あります。
本人の気質や特性はそう簡単に変わるものではありません。その気質や特性を理解する環境要因の改善が一番だと思います。選択性緘黙の周りの人の考え方として、「ただ恥ずかしがっていて話さない」や「反抗的」などです。しかし、そうではありません。本人が一番苦しんでいます。話したくても話すことが出来ず、伝える手段に迷っていることがあります。それに周りが気付いてあげることです。現代は伝えるツールがたくさんあります。「紙に文字を書く」「パソコンに打つ」など様々です。もし、この状況ではあまり話さないと思ったら、文字を書いてもらったり、パソコンに打ってもらったりしてみてはどうでしょうか?
一番やってはいけないことは、無理矢理話させようとすることです。話さないから言葉を発してあげようとすることは、愛情かもしれません。しかし、本人は話すことが恐怖なのです。その子にずっと恐怖を与え続けたらどうなるでしょうか?ますます話す環境から離れていきます。まずは、コミュニケーションをとることは楽しいと思ってもらえることが大切です。
生きづらいと思っている人が少しでも救われますように
阿部航平
参考文献
ハートクリニック こころのはなし 選択性緘黙
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